ご挨拶

滋賀医科大学放射線医学講座 教授 渡邉嘉之

 令和元年9月より前任の村田 喜代史教授を引き継ぎ、第4代教授として赴任しました。伝統ある滋賀医科大学放射線医学講座を令和の新時代に合った新しい放射線科としてさらに発展させていく所存です。

 放射線医学講座は画像診断、IVR (Interventional Radiology)、核医学、放射線治療と幅広い分野を受け持ち、全身の診断、治療を行います。病院の中では中央診療部門として医療の質や安全に関して重要な役割を占めています。現在の高度化した医療において、放射線科医は最新の診断機器や治療装置を用いて多様な患者さんに最適な医療を提供するには欠かせない存在として活躍しています。

 滋賀医科大学放射線科では伝統的にgeneral radiologistを目指し、幅広い知識、技術を持った放射線科医の育成を行っています。Generalな知識を基に、自分の興味のある領域をより深め、その分野での最新知見の導入や研究を進めていきたいと考えています。臨床各科とのカンファレンスも活発に行っており、各臨床科からのニーズに応えられる画像診断、治療を提供し、その中から患者さんの為になる次世代の技術を開発したいと思っています。

 現在あらゆる分野で人工知能(Artificial Intelligence:AI)の進歩が話題であり、医療においても今後AIの発達により大きな変革が起きると言われています。特に画像認識領域はAIの進歩が早い領域であり、数年以内に臨床応用が始まることが期待されます。AIにより放射線科医の仕事はなくなるのでしょうか?答えはNoです。画像認識はAIに可能ですが、放射線科医は画像認識の後に個々の患者に合った判断(診断)を行っています。AIは放射線科医の能力を拡張するものであり、AIを使って今まで診断できていなかった領域の診断が可能となり、今後、単純作業(検診での結節検出、経過観察)などはAIで可能となり、我々はより創造的な仕事に時間が割けることを期待しています。

 現在放射線科医は全国的に不足しています。ぜひ、放射線医学に興味を持っていただき、最先端の放射線医学を学び、発展させる情熱のある若手医師を広く募集します。当教室で学び、滋賀県の地域医療を支える人材や滋賀から世界へ羽ばたく放射線科医を育てることが私の使命と考えています。